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リーダーシップ,上司、リーダーとしてのあり方
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わたしとあなた から わたしたちへ(後編)

2019.01.31猪俣恭子

(前回からの続きです)

「で、どんな本が好きなの?」
私に訊かれて、
彼女は警戒するかのように肩をすくめました。
その様子は、「どうせ言ったってわからないでしょ」と
冷めているようにも見えました。

「司馬遼太郎とか、池波正太郎とか・・・」
もう蚊の鳴くような声です。
へぇ、渋い。
もしかしたら、歴史が好きなのかな?

「私も好きだよ。
 司馬遼太郎、池波正太郎、いいよね」
「えー? ほんとー?」
どうやら無理をして私が合わせていると
かんぐっているようです。

「ほんとだよ。
 『竜馬が行く』とか。
 『鬼平』とか『剣客商売』も面白いよね」
「剣客商売? それはまだ読んでいないなぁ」
「ねえ、もしかして、歴史が好きなの?」
「(声が小さくなって)好きです・・・」
「ほんと?! 私も好きだよ」
「えー~。ホントですか・・・?」
上目遣いのその視線。
明らかに疑っています。

「ほんとだってば。
 だって、大学は文学部史学科。
 それも国史学専攻。
 本は断然歴史ものが好き。
 テレビは、大河ドラマで決まりでしょ」
「えー!!! ほんとですかー!!!」
急に声が上ずった彼女の反応に驚いていると、
続けて、
「私も史学科行きたいんですー!」

そうだったんだ・・・。
それからは先ほどのしら~っとした空気はどこへやら。
彼女は、ぐいっとお互いの肘がふれあうくらいに
近寄ってきました。
顔は上がり、目はきらきらとして、
今までぽつりぽつりと平坦だった話調子は、
まるで音符が流れるようにイキイキとし始めました。

「どこの大学に行っていたんですか?
 将来は博物館や美術館の学芸員になりたいんです」
「学芸員ね。大学の時、その資格とったよ」
「そうなんですかー!」
「ねえ、史学科だったら〇〇大学いいんじゃない?」
「〇〇大学ですか・・。いいなって思うんですけど、
 ランクが高くて・・・」
「いいと思ったら、目指してみようよ」

私たちの間の空気感が、一気に熱くなりました。

お互いに共通するものがないと思っていた時は、
「わたし」と「あなた」の一対一の関係。
でも、「お互いに共通しているものがある」と知り合えた瞬間、
その関係は、「わたしたち」になりました。

わたしとあなた から わたしたち へ。

お互いに共通しているものを探す。
好きなものでも、嫌いなものでも、
夢でも、興味のあるものでも。
何でも・・・。
そこには世代を超えて、
お互いにわかりあえるものが芽生えるのだと確信しました。

この「わたしたち」という感覚は、
多大な効果があります。
相手は正直になって、
ほんとうに相談にのってほしいことを
話してくれるようになります。
それはこちらを信頼してくれている証です。
事実、彼女は最初は用意された質問以外に、
私に質問してくることはありませんでした。
しかし、「歴史が好き、史学科」という共通事項ができた瞬間、
私への壁が一気になくなりました。

コミュニケーションとは、
相手と自分の共通点を探すこと。
共通のものを持つこと。

誰とでも上手くやれる自信がある人というのは、
誰とでも共通点はあると、シンプルにそれを信じて、
実際に探すのが、とても上手な人なのかもしれないですね。

相手とあなたとの共通点。
それは何でしょう?
ひとつだけじゃないですよね。

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