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心が動く最高のほめ言葉(後編)

2019.01.24猪俣恭子

(前回 「心が動く最高のほめ言葉」(後半)の続きです)

さて、残業続きのある日のことです。
入社4年目のAさんが納期の厳しい仕事に悪戦苦闘していました。
Aさんの仕上げた制作物を校正するのが私の仕事です。
PCに向かい制作に集中する彼女の後姿を見つつ、
「ああ、今日もどれだけ校正に時間かかるだろう?
 何時に帰れるんだろう?」
時計を見ては、ため息をついていました。
何せ、Aさんはまだ不慣れゆえ、
校正に費やす時間が
他の方のゆうに二倍はかかっていたのです。

しばらくして「猪俣さん、見てください。お願いします。」
と声かけられ、さてさてと校正作業に入りました。
驚きました。
前回よりも、格段に、はるかに
修正量が少なかったからです。
目をみはりました。
Aさん、がんばっているな・・・。
先輩が辞めたあとの「あな」を懸命に埋めようとしてるんだな。

瞬間、思いました。
今が、彼女に「承認する」タイミングだと。
「あなたがそうして一生懸命努力しているのを私はわかっているよ」
を伝える時だと。
この機会を逃してはいけない。
彼女のために・・・!

「Aさん、校正終わったよ」。
私の声に、彼女がぱたぱたと足音をたてながら近づいてきました。
すっと深呼吸をし、彼女の目をじぃっと見つめて言いました。

「Aさん、先月は私の赤ボールぺンの修正で、
 最初に仕上げた内容が読めないくらいだったのに、
 今回はこんなに少なくなったね。
 前回の修正の四分の一くらいになっているんじゃない?
 とてもがんばっているね」
ここまで伝えると、
Aさんが目を瞬かせました。
その様子に少しドキドキしましたが、
一番伝えたいことは次のこと。
「Aさんがそうしてがんばっているのを見て、
 忙しいけれど私もがんばろうと思ったよ」
言い馴れない表現だけに、
言葉にしてさらにドキドキしてきました。
途中かみそうにもなりながら、
しかし、最後までしっかり伝えました。

言い終わるやいなや、
Aさんの顔はぱあっと明るくなり、
頬はさあっとぴんく色に!
彼女の高揚した心が伝わってきました。

その日の仕事を終えて、「これからもがんばりますっ!」
と軽やかにステップしながら帰っていくAさんを、
「お疲れさま。明日もよろしくね」と見送りながら、
私は心底ほっとしました。

「あなたはチームにこれだけ貢献している。
 私はちゃんとそれに気づいている。
 あなたの存在は、
 私たちにこんなにいい影響を与えてくれている」

このメッセージこそが、
「心を動かす最高のほめ言葉」なのだと実感しました。

大切なのは、1回限りの「承認」ではなく、
続けていくこと。
あの時にあんな「承認」ができたから、
それでよし、終わり、ではなく。

本当の意味で人を育てている人は、
間違いなく、自然にそれをしています。
それからのAさんの仕事ぶりは、
間違いなく自信が宿りました。
日頃話す声も大きくはっきりしてきました。
その後の成長も伸びやかに、
2年もしないうちに私の右腕的存在になりました。
きっと、あなたの周りの部下やメンバーも、
あなたからそんな言葉をかけられるのを待っていると思います。
そう「最高のほめ言葉」を。

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