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詩集、刺繍?

2018.05.19猪俣恭子

先日、丸善に電話で本を注文した。
「詩集ですが・・・」と切り出した私に、
お店の方はこう質問された。
「それはポエムですよね?
 いとのししゅうではなくて」

いとのししゅう?

いと? 意図? いや、糸だろう。
糸のししゅう?
何、それ?
詩集という漢字に「糸」がどこかにあったっけ?
時間にすれば一瞬だが、
脳の中はフルスピードで情報を探し回った。
わかった。
そうか。
糸の「ししゅう」とは「刺繍」のことだ。
なるほど!

私は「詩集」以外に選択肢はなかったが、
「刺繍」というのもあったか。
確認してもらってよかった。

大体、「音」が同じで、「意味」が違うものは結構ある。

昔昔、銀行の人事部で働いていた時、
先輩に訊いたことがある。
「人事部の“つうちょう”はどこにありますか?」
ここで言う“つうちょう”とは、
通帳のことだ。
すると、先輩は「器材庫にある」と言う。
器材庫というのは、
印刷用紙やら文房具を格納しているところだ。
事務室から少し離れた別室にある。
なぜ、“通帳”が器材庫にあるのか?
そんな大切なものが?
通帳をしまう金庫みたいなものがあるのだろうか?
念のために「通帳ですよ?」ともう一回確認したら、
「だから、それは器材庫にあるわよ」と、
今度はうるさそうに言われてしまった。

解せないまま器材庫内を探しまわったが、
そこにあるのは、
やはり印刷用紙、ファイル、ボールペン、
マジックペン、模造紙、ネームプレート・・。
文房具の類ばかり。
どうしたってそこに通帳があるように見えない。

事務室に戻って、今一度訊いた。
「あのー、人事部の通帳なんですけど。
 経費を処理したいと思って」
しばし先輩はきょとんとしていたが、
「あー」と腑に落ちたようで、
「通帳ね。ここにあるよ」
教えてくれた場所は、
先輩のすぐ後ろにあるキャビネットだった。
そうか!
先輩は、「人事部名義の通帳」ではなく、
「人事部付けで発行する通牒用紙」をさしていたのだ。

つうちょう違いだ・・。

このやりとりを見ていた上司は、
けらけらと声を出して笑っていた。
先輩も私も苦笑いだ。
しかし、実際には「人事部名義の通帳」を手に入れるまでに、
ゆうに15分間は費やしてしまった。
効率的に時間を使うという観点からは、
もったいない使い方だ。

私も「通帳」とだけ言うのではなく、
「経費の処理がしたいので、
 人事部名義の通帳はどこにありますか?」
と確認すればよかったのだ。
先輩は、私が印刷をするのかと思い込んで、
「通牒用紙は器材庫にある」と教えてくれた。
先輩も「印刷に使う通牒用紙のこと?」と確認すればよかった。
お互い様だ。
というようなことが、
日常場面のあちらこちらで起きているはず。

ところで細かいところまで確認すると、
「しつこい人」とか、
「細かいことにこだわる面倒な人」とか、
少し煙たがれるのではないかと
思ってしうまことはなかろうか?
もしもそう懸念したとしても、
「多分このことを言ってるんだろう」と、
あいまいなままにするのは鬼門だ。
お互いに共通のイメージが共有できるところまで、
コミュニケーションをやりとりしたほうがよい。
案外とこういうのをはしょってしまうことが
多いんじゃないかにと思い、今日はこの件を取り上げた。

「詩集です」
「糸の刺繍ではないですよね?
 ポエムの詩集ですよね?」
日々のささいなやりとりが勉強になる。
私も気を付けたい。

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