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車が運転できるようなったワケ③~そこまで任せるとは!

2016.01.21猪俣恭子

運転免許は19歳でとった。
案の定、ペーパードライバーになった。
それでも社会人になって、「これではまずい!」と一念発起。
父を助手席に乗せ、休日に練習したこともあった。
しかし、相当、父は怖かったのだろう。

 「ああー! あぶないっ!!!!」
 「おーっ! ぶつかる、ぶつかる!!!」
 「何してるんだ!!!」
 「スピード落として、落として!!!」
助手席にいながら、父はとうとう足がつってしまった。
家に着けば、「もう二度と恭子の運転には乗らない・・・」
と、横になる始末。
やはり運転は向かないなあ、と意気消沈したものである。

ところが、夫は全く違った。
ペーパードライバーもなんとか卒業できそうな、
今から18年くらい前のこと。
休日に、車で横浜に行ってみよう、ということになった。
 「首都高が走れるようになれば、
  あとはどこに行っても大丈夫だよ」
運転はもちろん私だ。
首都高なんて走れるのだろうか?
カーブがあって、車線変更があって、合流箇所が何か所もあって、
それに走っている車は、みなスピードが出ている。
果たして、あの流れにのれるだろうか?
首都高を想像して怯える。
夫は怖くないのだろうか? こんな私が運転して。
私の心配をよそに、彼は「大丈夫だよ。指示するから」と、
全く気に留めない。
数年前の父が頭をよぎった。
本当に大丈夫だろうか?
 
 「前の車のスピードと合わせて。それでいいよ。
  はい、ここで左にウインカー出して。
  いいよ。左に入って」
苦手な車線変更では、助手席から後方を確認し、
入るタイミングをよどみなく教えてくれる。

難易度が高い合流地点が近づいてきた。
 「ねえ、大丈夫なの? 合流できるかな?」
弱気になる。
 「ここの合流は、慣れている人でも難しいんだよ」
そう聞いて、気が楽になる。

 「そろそろ右の車線に入って」
 「右にウィンカー出して。そのまま走って。
  よしっ、右に入って」
またもや指示。
この指示のタイミングが非常に的確で、感心した。
彼の指示に従っていれば、絶対間違いない。
安心してハンドルが握れた。
しかも、ただ走っていればいいだけのところは何も言わないのだ。
静かにしている。
余計な口出しはしない、というところだろうか。
このように落ち着いていてくれると、
自分の運転にささやかな自信さえ感じられる。

それに、アドバイスが実にシンプルなのだ。
 「後ろから来る車がドアミラーに映らなくなる距離があるんだよ。
  それだけ気をつけて」
 「ウィンカーを出してすぐに車線変更するんじゃなくて、
  ゆっくり車線変更すれば、後ろの車が気が付いてくれるから」
なるほど! 
ああ、このままいけば無事に着くな。
危ないところは「ああして」「こうして」と言ってくれるし、
何も問題なしだ。
次第に彼に頼り始めた頃、青天の霹靂が起きた。
首都高から東名に入り、数分経った頃。

 「ここまで来れば大丈夫。
  あとは、ひたすらこの道を走ればいいから」
そうかそうか、ひたすらこの道を走ればいいのか。
よかった、よかった。

 「疲れたから、寝る。
  出口が近くなったら起こして」
そう言って、助手席をさっと後ろに倒し、
新聞を顔に被せて、なんと寝てしまったのだ!
えー、嘘でしょう?!
一瞬にして、不安と緊張。
いくら道なりに走ればいいとはいえ、
若葉マークをつけている私にとっては、どきどきものである。
何かあっても、自分で判断するしかない。
何かあったら・・・。
心細かったが、とにかく前を見て運転するしかない。
覚悟が少しずつ定まる。

会話も何もなく静かな時間がただ過ぎた。
 「そろそろだな」
彼がやおら起き上がった。
確かに出口はもうそろそろだ。
本当に寝ていたのか、目だけつぶっていただけなのか、
まったく読めない。

 「次で出るから。
  スピードを少しずつ落として。そう、それくらい」
また指示が始まる。

 「料金所をでたら、車を止めて。運転、代わるよ」
実際、相当疲れていたので助かった。
そうして横浜の目的地に無事に到着。

しかしながら、彼は大したものだ。
私の習得度に応じて、
アドバイスをする内容とタイミングを心得ている。
アドバイスをする時は、決してながながと説明しない。
何をどうするかを簡潔にはっきり言い切る。
「あぶない!」「ほら、スピード落として!」のように、
運転する私がびくつくような言い方をしない。
あれもこれもではなく、「今、必要なこと」に絞って教える。
できているものは口出ししない。
初めてやるものには、再び指導モードになる。
脱帽したのは、
ここはもう一人でも大丈夫と判断したところは寝てしまうなど、
100%私に任せられるところだ。
もしも彼が、道中ずっと指示しっぱなしだったら、
私は一人で運転ができるまで、
相当時間がかかったかもしれない。

その日、自宅に帰ってから、彼が言った。
 「首都高も走れたから、もう大丈夫だね」
暢気なものの言いように呆れたが、
わかったことがある。

それは、100%任せられたら、
「やるしかない」と腹を括れるということだ。
腹を括れるということは、自分ごとになるということ。
そうなれば、必死さが違う。本気になって取り組む。
習得のスピードが早くなる。

私が車を運転できるようになったワケ。
拙著『女性ためのリーダーシップ術』23ページにあった、
教習所の教官とのやりとりもそう。
義弟のH君の承認上手もそう。
そして、夫の教え上手もあった。
それらがあいまって、実現したようなものだ。

三人三様ともアプローチは違っていた。
共通していたのは、どこかで私を「信じてくれていた」ことだ。
今はできないけれど、「やればできる人」と、
真っ向から信じてくれていたように思う。

そして今。
相手に知識や技術を教える場面では、
三人から教えられたことを都度思い出す。
今の自分は、効果的に教えられているだろうか。
18年前の三人とのやりとりが、懐かしく思い出される。

追伸
先日の朝、夫と言い争いをした後、車で送る。
「なんだか、運転こわいです・・・」と怖がられた。
いけない、いけない。初心に戻って、初心に。笑

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